Linuxシステムでは物理メモリが不足した場合に仮想メモリ(Swap領域)を使用して一時的にメモリを補完することができます。Swap領域は物理メモリが不足した場合にシステムのパフォーマンスを維持するために重要です。特にメモリが少ない環境や、メモリを大量に消費するタスクを実行する際に有効です。今回はUbuntu LinuxでのSwap領域の作成手順について詳しく解説します。
1. 現在のSwap領域を確認する
まずは、システムに既にSwap領域があるかどうかを確認します。以下のコマンドで確認できます。
sudo swapon --show
結果が何も表示されない場合、現在有効なSwap領域が存在しないことを意味します。
次に、システム全体のメモリとSwap領域の使用状況を確認します。
free -h
Swap
の行で、使用中のSwap領域が表示されます。新たにSwap領域を作成したい場合、この情報を元に次のステップに進みます。
2. Swapファイルの作成
次に、Swapファイルを作成します。今回は、2GBのSwap領域を作成する例を紹介します。fallocate
コマンドを使用して、指定したサイズのファイルを作成します。
sudo fallocate -l 4G /swapfile
fallocate
コマンドを使用できない場合、dd
コマンドでも同様にSwapファイルを作成できます。
sudo dd if=/dev/zero of=/swapfile bs=1M count=4096
このコマンドでは、4096MB(4GB)のSwapファイルが作成されます。
3. Swapファイルの権限を設定
作成したSwapファイルが適切に保護されていることを確認するため、ファイルの権限を変更します。これにより、他のユーザーがこのファイルにアクセスできないようになります。
sudo chmod 600 /swapfile
権限が正しく設定されたことを確認するには、以下のコマンドを実行します。
ls -lh /swapfile
権限が-rw-------
で表示されれば、正しく設定されています。
4. SwapファイルをSwap領域として設定
次に、作成したファイルをSwap領域として使用できるように設定します。
sudo mkswap /swapfile
このコマンドを実行すると、/swapfile
がSwapファイルとして初期化されます。
5. Swap領域を有効化
Swap領域を有効にするために、以下のコマンドを実行します。
sudo swapon /swapfile
再度、sudo swapon --show
コマンドを実行して、新たに作成されたSwap領域が有効になっていることを確認します。
6. 永続的にSwap領域を有効にする
再起動後もSwap領域を自動で使用できるようにするためには、/etc/fstab
ファイルに設定を追加します。以下のコマンドを実行して、/etc/fstab
ファイルを編集します。
sudo nano /etc/fstab
fstab
ファイルの末尾に、以下の行を追加します。
/swapfile none swap sw 0 0
これで、システムが再起動してもSwap領域が自動的にマウントされるようになります。
7. Swapの使用確認
Swap領域が正しく設定されているか、再度確認します。以下のコマンドを実行して、システムのメモリ使用状況とSwapのステータスを確認します。
free -h
ここで、Swap
の項目に新たに作成されたSwap領域が表示されていれば、設定は完了です。

まとめ
Ubuntu LinuxでのSwap領域の設定は、システムパフォーマンスの最適化やメモリ不足時のクラッシュ防止に役立ちます。特にメモリが不足しがちな環境では、適切なサイズのSwap領域を作成しておくことで、システムの安定性を向上させることができます。
必要に応じて、Swap領域のサイズや設定を調整して、システムのニーズにあった構成を選んでください。